今の時代、子どもの高校留学を検討している方は多いと思います。しかし長期留学にすべきか?短期留学のほうが良いのか?迷う方も多いと思います。
「長期留学と短期留学」それぞれの期間
長期留学と短期留学、それぞれの期間はどのくらいなのでしょう?
通常、短期留学は夏休み、春休み、そして冬休み等の日本の学校の長期休みを利用して行くことが主流です。
長期留学の場合は3ヶ月以上なので、日本の学校を休学して留学することになります。わが家の娘も日本の高校を休学して留学しました。
「長期留学と短期留学」それぞれの留学費用
前回の記事、「ニュージーランド高校留学をおすすめする理由」でお伝えしたように、国別の3ヶ月から1年のおおよその留学費用は以下のとおりです。(※航空券、食費などの滞在費を含む)
2024年度の国別おおよその留学費用
国名 | 留学費用(3ヶ月) | 留学費用(6ヶ月) | 留学費用(1年間) |
ニュージーランド | 70~100万円 | 120~200万円 | 200~500万円 |
イギリス | 150~200万円 | 200~400万円 | 300~600万円 |
アメリカ | 100~250万円 | 150~300万円 | 200~650万円 |
カナダ | 70~120万円 | 120~200万円 | 250~520万円 |
オーストラリア | 80~120万円 | 90~120万円 | 350~600万円 |
一方で短期留学のおおよその留学費用は以下のとおりです。
国名 | 留学費用(2週間) | 留学費用(1ヶ月) |
---|---|---|
アメリカ | 35~60万円 | 45~70万円 |
カナダ | 30~55万円 | 45~65万円 |
オーストラリア | 30~50万円 | 40~60万円 |
ニュージーランド | 25~40万円 | 40~50万円 |
イギリス | 40~60万円 | 55~70万円 |
短期留学も以下の条件などによって留学費用は大きくちがいます。
- 留学先の国
- 公立校 or 私立校
- 都市部 or 郊外
- 航空券の種類(LCC or 出発日が変更可能な大手航空会社)
- 留学エージェントを利用する or しない
それでは長期留学と短期留学、それぞれどのようなメリット、デメリットがあるでしょうか?
長期留学のメリット
英語が上達する
長期留学は短期留学と比べると留学先での滞在期間が長く、英語に接する時間が長いので英語が上達するのは言うまでもないでしょう。
個人差があるものの、英語は数ヶ月ごとにブレイクスルーを経験して上達していきます。数週間の滞在と1年間の長期留学では英語の上達という点では圧倒的に差が見られます(ただし、本人が留学先で真剣に英語を学び、積極的に英語を話す場合に限ります)。
わが家の娘はニュージーランドに1年8ヶ月留学しました。
実は、当初は1年間の長期留学のつもりでした。しかし、1年経つ前に娘から「ようやく軌道にのってきたところだから卒業までこちらで学びたい」と言われました。
さらに留学費用がかかるのでそんなことを言われても!と思いましたが、娘がかなり頑張っていると学校の先生から聞き、苦渋の決断で(笑)OKしました。そして結果として留学先のニュージーランドの高校で学びました。
娘の英語力は留学中に飛躍的に伸び、在学中にIELTS7.0(オックスフォード大やケンブリッジ大、スタンフォード大学などの入学基準)を取得しました。
はるか昔に私自身がイギリスに留学した時も同様です。1年経ってようやく「英語という言語を使って何かを学ぶことが可能」になりました。それまでは「英語を学ぶ」が精一杯という感じでした。
海外(現地)の文化をじっくり学ぶことができる
長期留学の場合には、長期的に現地の環境で友人をつくり友情を育むことができます。
部活や学校のアクティビティに長期間、参加することによって、現地のコミュニティの一員となり、日本では経験できないような貴重な時間を過ごすことができます。
また、現地の人々の暮らしぶりや生活習慣は長期的に滞在することによって自らも経験して文化への理解を深めることができます。
わが家の娘は長期留学で英語以外にもいろいろなことを学ぶことができました。
長期滞在によって交友関係にも恵まれ、現地の友だちの家に招かれディナーをごちそうになったり誕生日パーティーに参加したりと文化面でもニュージーランドの生活を満喫することができました。
長く滞在して現地の友だちや留学生仲間と交流し、それぞれの国の常識や生活習慣など多岐にわたる文化のちがいを10代で学び、視野を広げた経験はとても貴重な経験だったと思います。
大学受験に有利「総合型選抜(AO入試)または帰国子女入試」
実は、娘の留学先の多くの日本人の友人の留学目的が「大学受験で有利になるから」でした。
実際のところは現在、総合型選抜(AO入試)の希望者が増えている上に、大学ごとの募集人数は少ないです。それでも一般入試と比較すると倍率は低く、留学で培った英語力を最大限に活用して希望の大学に入学した複数の友人がいます。
受験方法は一般的には以下のような総合的な人物評価を行い選抜します。
- 書類審査
- 小論文
- 面接
受験科目も少なく、高校留学経験や英語のスコアが有利になることは間違いです。
帰国子女入試の場合には大学によってはSAT Reasonig TestやTOEFLなどのスコアの提出を求められることもあります。
総合型選抜(AO入試)や帰国子女入試は、早稲田大学、慶應大学、上智大学、東京大学、京都大学、一橋大学など多くの有名大学で採用されています。
長期留学のデメリット
経済的負担が大きい
なんといっても特に今の超円安時代は留学費用が高い!ことがデメリットですよね。
長期留学の半年、1年となると出費もそれなりに大きくなり家庭の経済的負担は大きいです。
言葉や文化の壁による精神的なストレスや孤独感
短期留学の場合はたとえ言葉がわからずコミュニケーションに問題が生じたり、文化的なちがいにストレスを感じても期間限定と割り切って過ごすことができます。
また、なかなか友だちができないなどの孤独感を味わう場合も、短期ならばどうにか帰国までやり過ごすことができます。
しかし、長期留学ではストレスを感じる場合はそれが何ヶ月も継続することになる、また、孤独感を長期間感じることになるといった問題が生じます。
大学受験で一般入試を目指す学生にとっては不利になる
日本の高校を1年間休んだ場合は当然、授業に遅れをとり、一般入試には不利です。
解決策としては高校を留年(休学)するか、帰国後に1学年下の学年に入り直して一般入試を受けるという方法があります。
日本の高校の部活動や友人との時間が長期にわたりなくなる
日本の高校で部活動や友人関係を楽しんで充実した生活を送っている高校生にとってはこれはなかなかつらいと思います。
逆に、それらを差し置いても「長期留学したい!」という本人の意欲が必要だとも言えます。
わが家の娘の場合は、長期留学のデメリットはひとつだけでした。
それは、留学期間が8ヶ月延長されたことにより予想以上に留学費用がかかったということです。親のにとってのデメリットですが(笑)。
娘にとって長期留学は何ひとつデメリットはなかったようです。
言葉や文化のちがいによる精神的ストレスもあまりなく、あちらの生活にとても馴染んでいたようです。
また、大学受験もヨーロッパの大学に進学したので日本の一般入試の準備をする必要がなく問題ありませんでした。
短期留学のメリット
10代のうちに異文化体験ができる
(個人的な意見になりますが)これは比較的リーズナブルな留学費用で行ける短期留学の最大のメリットだと思います。
10代ならばさらに感受性が強く、感性が豊かです。10代での異文化体験は視野を広げて柔軟性を育てます。その後の人生が大きく変わるキッカケになったという
日本人としてのアイデンティティを自覚する
上のメリットと少し重複しますが、こちらもリーズナブルな留学費用で行ける短期留学のメリットだと思います。特にこれからの国際化がすすむ時代にとても重要だと思います。
日本に暮らしていると圧倒的に日本人が多い環境なので、日本人としてのアイデンティティを自覚することはあまりないですよね。
しかし、海外で生活していると否が応でも日本人としてのアイデンティティを自覚します。そして日本という国や日本人について客観的に見ることができると思います。
留学費用が長期留学よりも安い
上の表のように、短期留学の場合の留学費用は長期留学に比べるとかなりリーズナブルです。
上記のメリットを考えても短期の高校留学の費用対効果は大きいと思います。
帰国後、一般入試の準備にほぼ影響しない
3ヶ月以内の留学は、日本の高校に戻った時に勉強についていきやすいというメリットがあります。
また、数週間程度の短期留学の場合には、夏休みや春休みという長期休みの間に行けるため、部活動や友人関係など日本の高校生活に影響することなく留学生活を送ることができます。
短期留学のデメリット
英語力が飛躍的に伸びることはない
やはり短期間ということから、英語力が飛躍的に伸びることはなかなかむずかしく、期待できません。
英語に慣れる、もしくは英語でコミュニケーションをとるという目的ならば十分、可能ですが、英語力を大きく伸ばしたい場合には長期留学をおすすめします。
ある程度の留学費用がかかる
長期留学に比べるとリーズナブルな留学費用ですが、やはり短期留学もそれなりの留学費用がかかります。
英語力の飛躍的なレベルアップが期待できない割には高額だと感じる人もいるかもしれません。
日本人同士でかたまりやすい
短期留学の場合は日本の高校の長期休みを利用するケースが多いです。
留学生を受け入れる高校にもよりますが、留学先で日本人に出会うことが多く、日本人同士で固まって行動するケースも多く見られます。
条件や目的によって留学の期間は異なる
高校留学は短期にすべきか、長期にすべきか、迷うところだと思います。
どちらにすべきか迷う場合には、まずは以下の環境的条件から考えていくと良いと思います。
- 本人の高校留学に対する熱意
- 家庭の経済環境
- 本人の将来のビジョン
たとえば、本人が熱意をもって「長期留学したい!」と希望している場合。そして、家庭の経済環境に余裕がある場合は長期留学が良いのではと思います。
しかし、本人は留学への熱意があまりなく、どちらかというと親のほうが子どもの留学を希望している場合にはまずは短期留学を経験してみるというのが良いと思います。
また、本人が将来的に英語を使って仕事をしたい、海外に住む住まないにかかわらず、海外に関係する仕事に就きたいなどの希望がある場合には可能ならば長期留学を考えたほうが良いと思います。
わが家の娘と長期留学(親の感想)
もともと娘は高校に入る前から海外の大学に進学したい、そして将来的には国際的な環境で仕事をしたいという夢がありました。
1年8ヶ月の長期留学はかなりの出費となりましたが、今になって長期留学をさせてつくづく良かったと思っています。
(親目線で)長期留学によって娘が得たものは
- 飛躍的に伸びた英語力(在学中にIELTS7.0、卒業後にIELTS7.5を取得)
- 英語でのコミュニケーションスキル(英語力だけでなく、英語圏の論理でのコミュニケーションをとることができるようになった)
- 独立心や自信。様々な問題をひとりで解決する力
- 国際人として様々な人種、国籍の人々と交友関係を育み、異文化を理解すること
まとめ
社会のグローバル化により、学校の授業の一環として留学が組み込まれている高校もあり、高校留学を経験する人数は増加傾向にあります。
円安時代の今、留学費用は高騰していますが、政府や民間団体による返済不要の給付型奨学金制度もあります。
関心のある方はぜひ「トビタテ留学JAPAN」など奨学金プログラムを調べてみると良いかもしれません。